● 海外在住者の合算対象期間とは
日本の年金を受給するためには、基本的に25年以上の加入期間が必要であることは前述のとおりですが、海外で暮らしている方には特例措置があり、日本での加入期間が25年に満たなくても、受給資格を得ることができるようになっています。
特例措置とは、海外在住者の『合算対象期間』と呼ばれるものです。
海外在住者の合算対象期間
昭和36年4月以後日本国籍を有する者の期間で、20歳以上60歳未満の海外に居住していた期間
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合算対象期間とは、受給資格期間には算入されますが、実際には年金の保険料を納付していないことから、受け取る年金額には反映されない期間で、別名を『カラ期間』とも呼ばれています。
つまり、日本国籍を持っている方ならば、日仏社会保障協定による期間通算をしなくても、
『日本での加入期間』 + 『海外で暮らしていた期間』 ≧ 25年
であるならば、日本の年金の受給資格を満たしていることになります。(ただし重複期間は除かれます)
● 合算対象期間と日仏社会保障協定の関係
日本の年金の裁定請求(年金をもらう手続き)をするとき、日仏社会保障協定による期間通算を利用すると、提出書類が複雑になるばかりか、書類を提出してから最初の受給まで時間がかかりすぎてしまいます。(フランスでの加入期間をフランス側に確認するため)
ですので、合算対象期間で25年の受給資格を満たせる方は、日仏協定の期間通算を利用する必要はありません。
ただし、合算対象期間は日本国籍保持者を対象としていますので、受給資格の25年を満たす前に日本国籍を失っている方は、日仏協定の期間通算が必要になります。
また、日仏協定による期間通算を利用することにより、厚生年金の上乗せ給付である加給年金の受給資格が得られるケースもあります。
● 日本国籍が無い場合
日本の戸籍法では二重国籍は認めていないため、外国籍を取得すると同時に日本国籍を失います。受給資格期間が25年に満たないうちに、フランスの市民権を得てしまった場合、合算対象期間だけでは受給資格は得られません。
フランスの社会保障制度に加入していた方は、日仏社会保障協定による期間通算が必要になります。
● 加給年金がもらえる場合
加給年金とは、65歳未満の妻がいる場合に支給される厚生年金の上乗せ給付です。その支給条件は
1、夫の厚生年金加入期間が20年(40歳以降15年)以上あること
2、妻が65歳未満で年収が850万円未満であること
となっていますが、日仏社会保障協定により、1の条件を
1、夫の厚生年金加入期間とフランス社会保障制度の加入期間が 合計で20年(40歳以降15年)以上あること(重複期間は除く)
と読み替えることができます。
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